ご挨拶
ご挨拶
新型コロナ感染症が5類に移行し、約3年間の閉ざされた時間が明けたと感じる昨年でしたが、世界の情勢は不安定なままです。終わらないロシア・ウクライナ戦争、昨年10月に始まったパレスチナ・イスラエル戦争・・・毎日のようにメディアで取り上げられ心も身体も傷ついている子供たちの姿が映し出されています。子どもたちにとってなんと残酷な世界になってきていることか、そしてその映像を見ている世界中の子どもたちにも大きな影響を与えていることは明確です。
また、昨年度の不登校児数はコロナ感染流行前の1.6倍となりました。認知及び身体機能の発達もコロナ感染流行以前よりも遅れている、といった研究報告もあります。実に未来を担う子どもたちの危機的状況とも言える昨今、これからの世界を担っていく子どもたち、この子どもたちが輝く未来を明確に描かなければ大人としての責任を果たすことができないのではないでしょうか?
このたび、第11回小児診療多職種研究会の会頭を拝命いたしました私、森川敦子は作業療法士です。しかしながら、医療機関に勤務する一作業療法士ではなく、子どもたちを包括的に支援する組織を作りたく2010年に株式会社を、2023年には財団法人を設立し、この14年間、障害児通所支援事業や訪問看護ステーション、通信制高校等子どもたちに必要と思われる場を開設してまいりました。だからこそ第10回研究会の「多職種の無限∞力」を真に実感しています。
子どもたちが輝く未来を描くためには、一人ひとりの「子(個)」を輝かせること、そしてその「子(個)」を中心に子どもに関わる全ての職種、家族が改めて協働連携していくことが重要であり、時にはその協働連携を俯瞰的に見つめ不足を補う厳しさが必要です。しかし、それをするにも多様な視点をもち見つめあう「目」を養っていかなければなりません。日本小児診療多職種研究会はまさしくそのような「目」をもつために学び、再度多職種の協働連携の目的を確認する場です。
奇しくも第11回小児診療多職種研究会は原爆投下という過去を持ち、ひたすらに平和を願い復興してきた広島での開催です。この広島で改めて平和を願う大切さを感じていただき、そのためには「子どもたちの未来が輝くものであることが必然」と実感する研究会として開催したく存じます。それが子どもたちの輝く未来につながることを祈念し会頭の挨拶とさせていただきます。
第11回日本小児診療多職種研究会
会頭 森川 敦子
株式会社 奏音 代表取締役
K教育財団 理事長